「シン・ゴジラ」と同様、この映画も物語がおもに数か所のオペレーションルームで展開する。英国内閣の困惑ぶりは予想以上にゴジラに出てくる日本のそれと似ている。「世界一安全な戦場」というサブタイトルはオペレーションルームを指しているのだろうが、この言い方ではそこにいる人たちが悪いような印象を与える。この映画はどちらが悪いかという話ではない。この映画の本質をきちんと捉えてつけたのかという疑問が残る。
物語は「テロ攻撃により80人の命を犠牲にしても一人の少女を救うべきか?」という問題に沿って話が進む。少女というのが重要なポイントである。子供を死なせればば自分たちは世論に攻撃されるが、80名が犠牲になってもテロ攻撃ならプロパガンダ的にはOKという、単純な人命救助ではない政治的な問題が絡んでくる。
物語はおそらく最善策だったであろうが、それが絶対に正しかったのかはわからず、誰もが何かを失い終わる。結局戦争に勝者はいない。完全な善悪も無い。一般人にとってはなおさらで、状況によっては相手が敵か味方かも変わってしまう。先日亡くなったアラン・リックマンの最後のセリフが、戦地で敵を攻撃したり、ミサイルのボタンを押す兵士も犠牲者であることを語っている。そして映画の最初に出てくる「In war, truth is the first casualty.(戦争においては、真実が最初の犠牲者である」という言葉が物語の本質を明確に表している。
原題: Eye in the Sky (2015年・イギリス)
原題: Eye in the Sky (2015年・イギリス)
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