私は犯罪ドラマが大好きなのだが、殺害方法や解決方法よりは、その動機の描き方に興味がある。殺人鬼は快楽のために人を殺すが、通常は殺人にまで至る動機がある。その動機によっては、加害者と被害者の善悪が曖昧になり、さらには逆転することもある。そして動機に焦点をあてれば、スリラーは単なる謎解きではなく人間ドラマになる。結局、犯罪における一番のミステリーは巧妙なトリックやアリバイ工作ではなく、人間の感情なのだ。
「天使と悪魔 ~未解決事件匿名交渉課~」は、元検察・現弁護士の渡部篤郎と、警視庁の元一課・現資料係の剛力彩芽が、未解決事件を捜査するという物語だ。過去の事件を再捜査するうちに、新事実と人間関係。そして人を取り巻く事情が表面化してくる。しかし事件の概要が明らかになっても、時間が経っているので容疑者を逮捕する決定的な証拠がない。そこで有力証言と引き換えに、事件関係者を罪に問わないという、日本ではまだ採用されていない司法取引で解決しようとする。
多くの場合、殺人にはのっぴきならない事情がある。正しく罪を裁くには見逃してはならないポイントだ。同時に自分が罪に問われても、誰かを守らなければならない場合もある。このドラマは事件関係者、警察、検察など、様々な角度からの視点で物語を見せてくれる。
各エピソードともにプロットが巧妙でテンポもよく、エンディングまで物語を一気に引っ張っていく。途中、渡部篤郎のコミカルな演技が絶妙のタイミングで一息つかせてくれる。サブからゲストまでキャスティングもよく、全エピソードに穴がなかった。今回この記事を書こうと思い、記憶を新たにするために再度視聴した。やっぱりおもしろかった。そして前見た時に泣いた場面でやっぱり泣いた。
(全9話、2015年4月10日~6月5日 テレビ朝日系にて放映。)